1987 年 41 巻 12 号 p. 1028-1030
内視鏡的食道静脈瘤栓塞療法(以下「EIS」と略す)は, 吐血を主訴とする緊急例に対して本法がどの程度の治療的意義を持つているかについて関心がもたれている. この度, 緊急時EIS(以下「E-EIS」と略す)を施行した症例の有効性について検討したので, その成績について報告する.
対象はEISを施行した75例中, 吐血発現後24時間以内にEISを施行した23例で, EISの方法は高瀬らに従つた.
対象23例のうち, 1週間以上止血可能例は22例(96%)であつた. 再出血は5例(22%)にみられた. 最初のE-EIS直後悪化例はみられず, F(形態)が63%と高率に改善した. 改善維持率は, L(占拠部位)100%, F 93%, RC sign(赤色所見)85%の順であつた. 8例が死亡し, その死因は肝不全4例, 再吐血後肝不全3例などで, 静脈瘤出血による吐血死が激減しており, E-EISの効果が評価された.