医療
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慢性型腸アメーバ症の1例
佐々木 俊輔岩野 瑛二大林 直嗣丸谷 盛雄三宅 周安原 高士河野 宏荒木 文雄西元 裕子
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1987 年 41 巻 12 号 p. 1060-1063

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抄録
患者は72才男性で, 海外渡航経験がある. 昭和61年3月ころより便秘傾向が出現したため近医受診し注腸X線検査で大腸ポリープと虫垂辺縁の壁不整を指摘され, 治療目的で同年6月5日当科へ入院した. 注腸造影では下行結腸から直腸にかけ9個の小ポリープと盲腸に壁不整を認めた. 内視鏡的ポリペクトミーの結果, 9個のポリープはすべてadenoma Group 3であつた. 同時に盲腸に周囲が軽く盛り上がつた小潰瘍を1個認めた. 生検組織では, 潰瘍部分に無数の赤痢アメーバの栄養型を認めたため伝染病隔離病棟に移し, metronidazoleを経口投与した. 入院第54病日に施行した第2回目の大腸内視鏡検査では同部の潰瘍は治癒し, 生検組織に虫体は認められなかつた. なお, 肝膿瘍は認めなかつた.
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