医療
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胃癌術後化学療法により重篤な副作用を発症した2症例
朔 元則内藤 英明牛島 賢一
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1987 年 41 巻 3 号 p. 283-286

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抄録
胃癌手術時の補助化学療法は, いまや常識といつてよい程普及しているが, 手術直後の制癌剤大量投与は思わぬ重篤な副作用を併発する危険をはらんでいる. 我々は胃癌術後の化学療法, 特にMMC投与によると考えられる合併症によつて死亡した2症例を経験した.
症例1は68才の噴門部癌男性で, 胃全摘術直後MMC 14mg静注, 2週間後よりtegafur 600mg/日内服開始. 術後28日目に再度MMC 14mg静注ののち元気で退院したが, その11日後高度の脱水症状で再入院, 高度の骨髄機能不全で再入院後3日目に死亡した. 症例2は66才幽門部癌の男性で胃切除術後MMC 10mg静注, OK432による免疫療法施行中の術後14日目より, 突然高熱, 発疹, 出血傾向を発症して死亡した. 剖検により骨髄の高度の低形成像と, 組織球の増殖, 赤血球貪食が認められ, いわゆるvirus-associated hemophagocytic syndromeと考えられた.
癌手術後の補助化学療法は効果的ではあるが, 副作用には充分な注意が必要である.
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© 一般社団法人国立医療学会
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