抄録
Kasabach-Merritt症候群は血管腫に伴ういわゆる消費性血液凝固障害にもとづく疾患として理解されてきている. 本症候群は良性で慢性経過をとるものが多く, 剖検例の報告は極めてまれである. 私たちは本症候群に胃癌と外陰部癌を合併し, 外陰部癌の術後急速な経過で死亡し剖検により肝の多発性海綿状血管腫と肝その他の全身主要臓器への外陰部癌転移を認めた65才女性例を経験したのでここに報告する.
肝では組織学的に海綿状血管腫内血栓形成がみられ, これに外陰部癌細胞が混在して認められた. 本症候群による血管腫内血栓形成に加えて外陰部癌転移によるDICの共存が考えられた.