医療
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減圧開頭術に伴い反対側に硬膜外血腫をきたした頭部外傷の2症例
宮田 伊知郎石光 宏原田 泰弘西浦 司津野 和幸
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1988 年 42 巻 3 号 p. 252-255

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抄録
頭部外傷による頭蓋内血腫に対して減圧開頭術を行つた後, 非開頭側に急性硬膜外血腫の発生をみた2例を経験した. 頭蓋単純写で1例は矢状縫合の離開骨折があり, 1例は正中を越えて両側にまたがる線状骨折を認めた. CTではいずれも硬膜下血腫とmidline shiftを認めた. 1例は術中明らかな脳腫脹はなかつたが術後しばらくして対側に大きい瞳孔不同が出現した. 1例は術中徐々に脳腫脹をきたし術直後より瞳孔不同を示した. いずれも非開頭側に大きな硬膜外血腫を発生しており, それに対してただちに血腫除去術を行つた. しかしいずれも予後不良であつた.
正中部あるいは正中を越え両側にまたがるような骨折がある場合, 減圧開頭術に際しては, このような反対側硬膜外血腫の発生の可能性を常に念頭においておくべきである.
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© 一般社団法人国立医療学会
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