医療
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吸着剤充填空置大腸による新しい血液浄化法に関する実験的研究
鵜養 恭介
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1988 年 42 巻 6 号 p. 535-542

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抄録

慢性腎不全患者の新しい治療法の開発の一つとして, 著者は外科的に作製した空置大腸内に吸着剤を充填する新しい血液浄化法を考案し, これを腎不全作製犬を用いて実験的に検討し, 臨床応用の可能性を推察した.
充填吸着剤は, 腎不全犬に作製した空置大腸内に注入充填され, 吸着剤充填前, 3時間後値で1)除水, 2)uremic toxinの除去, 3)電解質の恒常性の維持効果を検討した.
1)は, Ht (p<0.01), TP (p<0.05)の有意の増加で, 2)はBUN以外のcreatinine (p<0.01), uricacid (p<0.05)の有意の低下で, 3)はK (p<0.05), P (Wilcoxon p<0.05)の有意の低下, Ca (p<0.05)の有意の上昇で, この浄化法の有効性が認められた. BUNの除去, その他生体の内部環境の恒常性の維持の問題は, 他の治療法の併用で解決できると考えられた.
以上より, 著者の考案した新しい血液浄化法は, 実験的に優れていることが証明され, 充分臨床応用されうると結論された.

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