医療
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外傷性脳血管攣縮の1例
小柳 泉上野 一義加藤 功橋詰 清隆蓑島 聡吉本 哲之
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1988 年 42 巻 7 号 p. 644-647

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抄録

症例は68才男性. 頭部外傷の翌日, 当科へ入院した. 神経学的には見当識障害を認め, CTでは半球間裂, 右シルビウス裂を中心にクモ膜下出血がみられた. 受傷後7日目に施行された頸動脈撮影で両側前大脳動脈・中大脳動脈に広汎な狭窄像がみられ, 受傷後13日目より下肢につよい左不全片痺が出現した. 受傷後32日目の右頸動脈撮影では右前大脳動脈にsegmentalな狭窄を残しながらも, 狭窄像の改善がみられ, 受傷後122日目の頸動脈撮影では, 狭窄像は消失していた. 外傷性のクモ膜下出血に加えて, 血管への機械的刺激がこのような遅発性の脳血管攣縮に関与していると考えられ, 文献的考察を行つた.

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