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小児慢性疾患病棟における水痘の院内発生状況と水痘ワクチンの予防効果
黒沼忠 由樹藤田 誠
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1988 年 42 巻 9 号 p. 803-806

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抄録
小児慢性病棟において昭和54年1月~60年1月の6年間に3回の水痘発生があり, 伝播防止のために水痘ワクチンを接種した.水痘ワクチン被接種児は男児21例, 女児5例で, 各々にワクチンを0.5ml上腕皮下に注射した.水痘の既往が確実なもの, 水痘皮内反応が陽性なもの, 水痘抗体価の上昇が明らかなものについては接種対象から除外した. ワクチン接種により次のような成績が得られた.
1. 水痘ワクチンによる伝播防止は, 十分効果がみられ, また副作用も認めなかつた.
2. 水痘罹患により原疾患の悪化した例は, 1例のみであつた.
3. 水痘ワクチン接種後の抗体価上昇(または皮内反応陽性)は, 検索し得た例全例でみられ, 十分な免疫力が得られたものと思われた.
High risk患児を扱う病棟では, 今後も水痘予防にワクチン接種を積極的に考えていくべきと思われた.
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© 一般社団法人国立医療学会
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