医療
Online ISSN : 1884-8729
Print ISSN : 0021-1699
ISSN-L : 0021-1699
42 巻, 9 号
選択された号の論文の21件中1~21を表示しています
  • 竹中 武昭, 近田 千尋, 坂野 輝夫, 北原 武志, 湊啓 輔, 飛内 賢正, 吉野 正曠, 下山 正徳
    1988 年42 巻9 号 p. 783-789
    発行日: 1988/09/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    1978年1月から1986年12月末までに, 国立がんセンター病院で扱つた成人造血器腫瘍患者に合併した敗血症50症例64エピソードを, 発症時に抗生剤投与中であつた抗生剤⊕群と未投与であつた抗生剤(-)群に分け比較検討した.
    (1) 7例に複数菌感染を認めたため, 検出菌数は71株であつた. 抗生剤⊕群では31株中45%をPs. aeruginosaが, 次いでEnterococcusが13%, Enlerobacter cloacaeが10%をしめた. これに対し, 抗生剤(-)群では40株中30%がKl. Pneumoniae,次いでPs. aeruginosaが13%, E. coliが10%をしめた.
    (2) 治療効果を比較すると, 抗生剤⊕群の22%に対し, 抗生剤(-)群では77%と有意(P<0.001)に良好であつた. 好中球数, 敗血症前の好中球減少(<500/cmm)期間, あるいは基礎疾患別の治療効果には有意差が認められなかつた.
    (3)aminoglicoside系, 広域penicillin系, cephem系抗生剤の組合せ別の治療効果に有意差は認められなかつた. 抗生剤(-)群では, いずれの組合せにおいても2回投与法より3回投与法で有効率は高い傾向にあつた.
  • 木村 格, 大沼 歩, 関 晴朗, 笹生 俊一
    1988 年42 巻9 号 p. 790-794
    発行日: 1988/09/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    周波数の異なる2種類の音刺激を判別する簡単な精神作業により誘発した聴性大脳誘発電位(P300とN100)の潜時を指標にして, 正常成人と脳血管性痴呆患者の知的機能を比較検討した.
    P300潜時は年令に正比例して延長を示し, その延長率は1.42msec/年であつた. 痴呆例のP300潜時は各年令において正常対照例に比較して有意に延長し(P<0.01), その延長の程度は痴呆の重症度に比例した. N100潜時は年令や痴呆の有無によつて変化しなかつた.
    聴覚刺激が第1次聴覚領で受容されるまでの時間(N100潜時)と刺激内容の認識が完了する時間(P300 潜時)の差を認識時間と仮定し, 痴呆患者において薬剤投与前後の知的機能の変動を定量的に表現し得た.
    本方法は将来, 知的能力を評価する標準的な検査法として臨床的に応用される可能性を考察した.
  • 黒沼 忠由樹, 藤田 誠
    1988 年42 巻9 号 p. 795-798
    発行日: 1988/09/20
    公開日: 2011/12/02
    ジャーナル フリー
    我々は, 小児慢性腎疾患53例の各病型, 病態において血清および尿中myoglobin(Mb)を測定し比較検討した. さらにβ2-micro910bulin(β2M), 血液尿素窒素(BUN)およびcreatinine (Cr)との関係についても検討し, 次のような成績を得た. 1)正常対象児の血清Mbは24.6±15.0ng/mlであつた. 患児の血清Mbでは, 腎機能正常のネフローゼ症候群, 膜性増殖性糸球体腎炎では全例ほぼ正常範囲で, 腎機能低下の慢性腎炎の2例では有意に上昇していた.IgA腎症, その他の遷延性腎炎および紫斑病性腎炎では血清Mbは正常範囲であり, Fanconi症候群では腎機能軽度悪化の1例で高値であつた.2)血清Mbはβ2M, BUNおよびGrとは有意に正の相関があつた. 3)尿中Mb値ではステロイド剤抵抗性ネフローゼ症候群とFanconi症候群で高値の例があつた. 血清Mbは, 進行する糸球体障害のより早期の指標となり, また尿中Mbは尿細管機能の評価に有用であると思われた. β2Mに比し測定操作は簡便であつた.
  • ―特に運動前後における血中および尿中ミオグロビンの変動について―
    黒沼 忠由樹, 佐藤 勇, 松井 史郎
    1988 年42 巻9 号 p. 799-802
    発行日: 1988/09/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    我々は, 小児慢性腎疾患患児にトレツドミルによる運動負荷を与え, クレアチニン(Cr), アルブミン(Alb), β2-ミクログロブリン(β2M), IgGおよびトランスフエリン(Tf)の1時間目, 2時間目の尿中排泄量の変動をみる方法で, 運動許容量の指標の目安とすることを試みた. また体育の授業の前後にて血中および尿中ミオグロビン(Mb)を測定検討し, 以下の結果を得た. 1)ステロイド剤感受性ネフローゼ症候群(ネ症)ではIgGの排泄は認められず, またその他のパラメーターも変動が少なかつた. 2)腎炎性ネ症および遷延性腎炎8例のうちIgG排泄のあつたものは5例で, IgG/Tf比で負荷後上昇する傾向がみられた. 3)尿中β2Mでは, はつきりした傾向を示さなかつたが, 負荷後のみIgG排泄があつた1例で, 尿中β2Mも排泄が著増した. 4)体育の授業の前後でのMb値については, 1例に尿中排泄の急増を認めた.IgG/Tf比の増加や尿中Mb増加の症例では, 軽度~中等度の運動許容量が望ましいと考えられた.
  • 黒沼忠 由樹, 藤田 誠
    1988 年42 巻9 号 p. 803-806
    発行日: 1988/09/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    小児慢性病棟において昭和54年1月~60年1月の6年間に3回の水痘発生があり, 伝播防止のために水痘ワクチンを接種した.水痘ワクチン被接種児は男児21例, 女児5例で, 各々にワクチンを0.5ml上腕皮下に注射した.水痘の既往が確実なもの, 水痘皮内反応が陽性なもの, 水痘抗体価の上昇が明らかなものについては接種対象から除外した. ワクチン接種により次のような成績が得られた.
    1. 水痘ワクチンによる伝播防止は, 十分効果がみられ, また副作用も認めなかつた.
    2. 水痘罹患により原疾患の悪化した例は, 1例のみであつた.
    3. 水痘ワクチン接種後の抗体価上昇(または皮内反応陽性)は, 検索し得た例全例でみられ, 十分な免疫力が得られたものと思われた.
    High risk患児を扱う病棟では, 今後も水痘予防にワクチン接種を積極的に考えていくべきと思われた.
  • 中野 千鶴子, 久保 聖子, 樋口 和郎, 飯田 光男
    1988 年42 巻9 号 p. 807-812
    発行日: 1988/09/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    重症心身障害児・者の骨脆弱性について第2中手骨のマイクロデンシトメトリー法で検討した. 1) 骨皮質幅指数MCIは104例中37例で低下, 骨密度の指標ΔGSmax, ΔGSmin, ΣGS/Dは各々25例, 28例, 34例で低下し, 骨皮質の菲薄化と骨塩の減少が示唆された. 寝たきり群で低下症例が多く, immobilizationが骨脆弱性に大きく関与すると考えられた. 2) 血清25-OH-D3, 1α, 25-(OH)2-D3は正常範囲の低め, 血清カルシウム, 無機燐, アルカリフオスフアターゼ, 副甲状腺ホルモンは正常であつた. 3) 1α-OH-D3投与(0.16±0.03μg/kg/日)1年後, ΔGSmin, ΔGSmax, ΣGS/Dは有意に改善したが, MCIは有意な増加はみられず, 骨皮質幅には運動量の低下がより強く影響しているものと考えられた. 重症心身障害児・者では, 運動能力の退行を来す要因を避け, 運動量の拡大の工夫が重要と考えられた.
  • 馬場 輝実子, 本山 和徳
    1988 年42 巻9 号 p. 813-816
    発行日: 1988/09/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    重障児の食事に関する療育は大変困難を伴うもので, これを少しでも解消するために, まず, 重障児の体格, すなわち, 身長と体重を計測し, さらに, 基礎代謝量を実測してその求め方を検討した.
    対象は重障児66名で, これを活動機能別に, I. 歩行可能12名, II. いざり移動9名, III. ベツド座位11名, IV. 寝たきり34名に分けた. その結果, 平均17才で身長132cm, 体重25kg, カウプ指数14でそれぞれ基準値の83, 52, 71%で, 特に, 寝たきりでは体格が非常に劣つていた. BMは体重や体表面積などからいろいろ検討した結果, 性・年令に該当した体表面積から算出した基準値BMの85%に相当すると結論した.
  • 馬場 輝実子, 木下 節子
    1988 年42 巻9 号 p. 817-821
    発行日: 1988/09/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    重障児の1日エネルギー所要量を知るために30名のtime studyを行い, 1日エネルギー消費量を求めた. さらに, 活動機能別に生活活動指数(X)をエネルギー消費量から, また, 発育期にある小児の体重増加指数(G)を求めるために重障児134名の年間体重増加量を算出し, 1日エネルギー所要量の計算方法を検討した. その結果
    1) 重障児の生活時間構造は活動機能別によつて非常に異なり, 寝たきりでは1日の80~90%がベツド上であつた.
    2) (X)は活動機能別に0.18, 0.12, 0.08, 0.05であつた.
    3) (G)は1才未満0.08, 2~4才0.02, 15~19才0.01, 20才~0であり, これは(X)に加算される.
    4) 1日エネルギー所要量は標準人に比べて平均して41%であり, A=B+Bx+1/10Aで求められる.
  • 多田 明, 立野 育郎, 高仲 強, 松山 毅, 川原 領一, 柏木 秀一, 西 克機
    1988 年42 巻9 号 p. 822-825
    発行日: 1988/09/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    Tc-99mm acro-aggragated-albumin(MAA)粒子による核医学的子宮卵管造影(RNHSG)を16例の不妊症患者で行い, 合計32本の卵管の通過性を造影剤による子宮卵管造影の所見と比較検討した. 16例中, 3例はアイソトープを膣円蓋部に置くにとどめ, 13例では内子宮口に置いて検査したが, 膣円蓋部に置いただけの症例ではすべて子宮内へのアイソトープの移行を認めなかつた. 内子宮口に置いた13例では10例20本の卵管の通過性が証明された. 造影剤による子宮卵管造影の所見と比較してRNHSGのsensitivityは91%, specificityは100%, accuracyは92%であつた. RNHSGは解像力には劣るが, 解剖学的には通過性を認めるのに, 機能的には通過性がないような卵管の評価に優れており, 不妊症における機能検査としては非常に有用な検査法であると考えた.
  • 高橋 慎一郎, 園部 真, 甲州 啓二
    1988 年42 巻9 号 p. 826-829
    発行日: 1988/09/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    脳動脈瘤破裂による脳室内出血(IVH)の病態と臨床経過を比較検討した. 対象はSAH発症72時間以内にCTを施行した破裂脳動脈瘤187例である. IVHはCTにて判定し, IVHはventricular rupture(VR)とventricular influx(VI), さらにIVHの程度によりGradelよりGrade 5まで分類した. IVHは65例(35%)にみとめられ, VRは37例, VIは28例であつた. VRの症例は圧倒的にACOMA ACAの動脈瘤であつた. over all mortalityをみると, IVH(+)群は61.5%, IVH(-)群は24.6%であつた. また, SAH発症48時間以内の直達手術のoutcomeをみると, poor, deadの占める率がIVH(+)では41%, IVH(-)では18%であり, さらにIVH(+)のなかではVRが63%, VIが17%とIVH(+)の群特にVRの群の予後が悪かつた. これらの結果をふまえ, IVHが予後不良因子として働くメカニズムについて考察を加えた.
  • 中細 由美子, 小林 敏信, 柴田 正俊, 鈴木 万里子, 石見 大輔, 石井 奏
    1988 年42 巻9 号 p. 830-833
    発行日: 1988/09/20
    公開日: 2011/12/02
    ジャーナル フリー
    全人工股関節置換術の麻酔法による出血量の違いを調べた. 全麻群(n=21)はGONLA麻酔を筋弛緩薬を使用し, 気管内挿管下に調節呼吸を行つた. 硬麻群(n=22)はメビバカインまたはブピバカインを使用し自発呼吸とした. 患者の背景因子, 麻酔導入前の血圧は両群間に差がなかつた. 術中10分毎に測定した収縮期血圧の平均値も両群間に有意差はなかつた. しかし術中の出血量は全麻群979±401g, 硬麻群708±330gと硬麻群で有意に少なかつた(p<0.05). 術中の出血量も硬麻群で有意に少なかつた. ヘモグロビン濃度は輸血にもかかわらず術後1日目に両群とも有意に低下した. (p<0.01). 動脈血圧に関して術中両群問に有意差がなかつたので従来考えられていたように, 動脈血圧が全麻と硬麻の出血量の差の主因とは考え難い. むしろ陽圧呼吸による静脈圧の上昇が全麻群の出血量増加の原因ではないかと推察される.
  • 荒木 英爾, 和田 佳子
    1988 年42 巻9 号 p. 834-839
    発行日: 1988/09/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    ミクロゾーム薬物代謝酵素の誘導剤であるフエノバルビタール・フエニトイン製剤(Hydantol F)の初回投与6例について, 投与前後の血清酵素GOT, GPT, LDH, GGTP, ALP, LAPなどの活性変化を経時的に観察した.
    血清GGTP活性は研究対象とした全例で上昇したが, その上昇開始時期, 上昇の勾配, 最高値などについては個体差が示された. なお, 血清GPTが研究対象6例のうち5例で上昇した点が注目された. その他, 血清ALP, LAPの上昇, LDHの上昇が各1例で認められた.
    フエノバルビタール・フエニトイン製剤投与時にはGGTPの誘導の他に, 肝細胞膜の透過性の異常も存在すると推察された.
  • 朝野 晃, 大島 美恵子
    1988 年42 巻9 号 p. 840-843
    発行日: 1988/09/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    Chorea-acanthocytosisの赤血球膜脂質二重層深部の異常を明らかにするために, 膜タンパクに結合している脂肪酸(protein bound fatty acid)の分析を行い, 患者では脂肪酸の飽和度が0.31±0.30(n=3)であり, 正常者の0.74±0.25(n=10)に比べ低いことを見出した. 膜の総脂肪酸の飽和度には正常と明らかな差はなかつた. シアル酸の含有量は患者血清と正常者血清とでは差はなかつたが, 赤血球膜では正常者に比べ低下していた. 以上の結果によりタンパク質一脂質問に異常があることを再確認した.
  • 田中 昭吉, 古川 哲也, 石本 三洋
    1988 年42 巻9 号 p. 844-848
    発行日: 1988/09/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    痙攣発現機構における中枢モノアミンの役割を検索する目的で, 脳内カテコールアミン作動性神経あるいはセロトニン作動神経の活性を変化させる処置を行つたマウスを用いて, lidocaineおよびpentylenetetrazol(PTZ)による痙攣発現を観察し以下の結果を得た. 1) lidocaineおよびPTZの50%痙攣量はそれぞれ約70mg/kg, 55mg/kgであつた. 2) α-methyl-P-tyrosine(50mg/kg, i. p. )により脳内ドパミン(DA), ノルアドレナリン(NA)含量はそれぞれ対照の20%, 57%に減少した. この時lidocaine痙攣発現は抑制された. 3) disulfiram(200mg/kg, i. p. )投与により脳内DAは対照の145%に増加し, NAは対照の72%に減少した. この際lidocaine痙攣は抑制された. 4) methamphetamine(5mg/kg, i. p. )によりlidocaine痙攣は増強された. 5) P-chlorophenylalanine(300mg/kg, i. P. )によりlidocaine痙攣は増強された. 6) 5-hydroxytryptophan(100mg/kg, i. p. )によりlidocaine痙攣は抑制された.
    以上, lidocaine痙攣発現機構に中枢NA作動性神経が含まれることを示唆した.
  • 難治性癌に対する放射線治療の向上に関する研究班
    1988 年42 巻9 号 p. 849-855
    発行日: 1988/09/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    この研究班は, 国立病院における放射線治療成績の向上のために, 向こう3年間の計画で行うものである.
    国立病院は地域医療の中核である上に, 癌の放射線治療には高額な放射線治療装置が必要であるが, これに見合う医療収入を得ることは困難であり, その役割は国立の施設で果たすべきであると考えられている.
    今回の研究は, 放射線、治療の向上を計るために, その基礎的研究として, 線量配分に関するもの, 線量分布に関するもの, 放射線治療機器の適正な配置に関する研究が行われ, また臨床的研究として, 温熱療法に関するもの, 増感剤あるいは化学療法に関する研究が行われ, それぞれに効果を上げることができた.
  • 中井 一彦, 角谷 佳城, 曽和 亮一, 林 恒司
    1988 年42 巻9 号 p. 856-860
    発行日: 1988/09/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    下垂体前葉機能低下症では欠落するホルモンにより種々の臨床症状が認められ, 低血糖もそのひとつに挙げられている. 最近, 我々は, 低血糖により意識障害をきたした下垂体前葉機能低下症の2例を経験したので報告する. 1例は44才男性, 他の1例は67才女性で, 共に意識障害を主訴として来院. 入院時あるいは入院中に低血糖を示し, ブドウ糖投与にて軽快した. 諸検査の結果, 特発性下垂体前葉機能低症と判明し, ホルモン補充療法にて改善した. 本邦集計下垂体前葉機能低下症1058例中, 低血糖は13.4%にみられるが, 性腺や甲状腺の機能低下はより高頻度に認められる. 上記2例は低血糖発作を主症状とし, 性腺, 甲状腺系の症状がほとんど認められなかつた点, 興味深いと思われたので報告した.
  • 五百蔵 一男, 大峰 隆浩, 小林 ちづ子, 松本 めぐみ, 久木元 喜昭, 柴原 孝彦, 福武 公雄, 竹内 廣, 高橋 隆一
    1988 年42 巻9 号 p. 861-865
    発行日: 1988/09/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    抗生物質の進歩に伴い, 典型的な臨床症状を呈する顎放線菌症は減少してきているが, 特発性血小板減少性紫斑病の加療中に発症した顎放線菌症を経験した. 症例は18才男性で, 特発性血小板減少性紫斑病に対し, ステロイド剤, 免疫抑制剤, 摘脾療法を施行したが, ステロイド減量中に開口障害を惹起した. 開口障害は次第に進行し板様硬結, 多発性小膿瘍, 膿汁中の菌塊の排出などの典型的な顎放線菌症の症状が認められた. しかしステロイド剤, 免疫抑制剤の使用も中止できないために, 通常感受性のある抗生物質を使用しても治癒せず, 両方の疾患の治癒が遅延した. 種々の抗生物質を使用したがミノサイクリンとオフロキサシンが有効で, 約7ヵ月後に顎放線菌症は治癒し, その後特発性血小板減少性紫斑病についても治癒し, 再発の兆候は認められない.
  • 9.ブランハメラ・カタラーリス感染症の化学療法
    永武 毅, 宍戸 春美
    1988 年42 巻9 号 p. 866-871
    発行日: 1988/09/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
  • 1988 年42 巻9 号 p. 872
    発行日: 1988/09/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
  • 1988 年42 巻9 号 p. 872a
    発行日: 1988/09/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
  • 1988 年42 巻9 号 p. 872b
    発行日: 1988/09/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
feedback
Top