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低血糖による意識障害にて見いだされた下垂体前葉機能低下症の2例
中井 一彦角谷 佳城曽和 亮一林 恒司
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1988 年 42 巻 9 号 p. 856-860

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抄録
下垂体前葉機能低下症では欠落するホルモンにより種々の臨床症状が認められ, 低血糖もそのひとつに挙げられている. 最近, 我々は, 低血糖により意識障害をきたした下垂体前葉機能低下症の2例を経験したので報告する. 1例は44才男性, 他の1例は67才女性で, 共に意識障害を主訴として来院. 入院時あるいは入院中に低血糖を示し, ブドウ糖投与にて軽快した. 諸検査の結果, 特発性下垂体前葉機能低症と判明し, ホルモン補充療法にて改善した. 本邦集計下垂体前葉機能低下症1058例中, 低血糖は13.4%にみられるが, 性腺や甲状腺の機能低下はより高頻度に認められる. 上記2例は低血糖発作を主症状とし, 性腺, 甲状腺系の症状がほとんど認められなかつた点, 興味深いと思われたので報告した.
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