医療
Online ISSN : 1884-8729
Print ISSN : 0021-1699
ISSN-L : 0021-1699
血糖調節機構における中枢ノルアドレナリンおよびセロトニンの役割
田中 昭吉古川 哲也石本 三洋
著者情報
ジャーナル フリー

1989 年 43 巻 10 号 p. 1045-1048

詳細
抄録

糖尿病は一般に膵内分泌機能の異常をきたす疾患である. インスリンやグルカゴンなどのホルモン分泌を調節し, 血糖を一定に保つ機構における中枢モノアミンの役割について薬理学的に検討し以下の結果を得た. ラツトの血糖は約65mg/dlで, インスリン値は45μU/mlであつた. ストレプトゾトシン処置により血糖値は1.6倍に上昇し, インスリン値は約30%低下した. カテコールアミンの投与は血糖値を上昇させた. セロトニンの投与は血糖値を低下させた. 脳内ノルアドレナリン含量を低下させる処置により血糖値は有意に低下した. また脳内セロトニン含量を増加させる処置により血糖値は低下し, 低下させる処置により上昇した. 以上, 血糖調節作用においてノルアドレナリン作動神経は血糖を上げる方向に働き, セロトニン作動神経は血糖を下げる方向に働く可能性を示唆した.

著者関連情報
© 一般社団法人国立医療学会
前の記事 次の記事
feedback
Top