医療
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再生不良性貧血・赤芽球瘍に対するシクロスポリンの効果
伊藤 国明五十嵐 忠彦金子 良一野崎 忠信
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1989 年 43 巻 12 号 p. 1315-1319

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抄録
重症再生不良性貧血(再不貧)3例・赤芽球瘍4例に対するシクロスポリン(CsA)の臨床効果を検討した. CsAは, 200~300mgを経口的に投与し, 有効の場合は100mgまで減量または中止した. 再不貧の2例(20才男, 22才女)は, anti-lymphocyte globulin (ALG), ステロイドパルス療法が無効で, CsAをmepitiostane (mep)と併用し, 66才女性例は, ALG, mepが無効で単独使用した. 再不貧では, 併用薬剤が多く, 3例共に臨床的に改善したが, CsAが有効なのは1例であつた. 赤芽球瘍では3例はステロイド無効で, 49才女性例はサイクロフオスフアミド(CPM)も無効, ALG一時有効, 52才女性例は, ALG, 胸腺腫摘出術も無効であつた. 1例(69才女)は, ステロイド, CPM共に一時有効であつた. CsAは, 赤芽球癆4例共に著効し, 16-39日で網赤血球の増加がみられた. 明らかな副作用は認められなかつた. CsAは, 赤芽球癆では, 治療の第一選択になりうるとおもわれる.
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© 一般社団法人国立医療学会
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