医療
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QT延長症候群について
―5例の経験をもとに―
今村 甲森永 正信大塚 祐一
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1989 年 43 巻 12 号 p. 1320-1326

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抄録
聾を伴いQT延長, 失神発作, 突然死を来しやすいJervell and Lange症候群と聾を伴わないで同様の症候をもつRomano-Ward症候群は小児の突然死の原因となりうるので注目されている. 両症候群ともに家族性遺伝性疾患として知られているが, 造伝性が明確でない, 同様の症候をもつものもあり, 総括してQT延長症候群と称されている.
我々は5例のQT延長症候群を経験している. 2例(姉, 弟)はJervell and Lange-Nielsen症候群に他の3例はRomano-Ward症候群である. 1例は脳波記録中に偶然に, 心電図におけるRon T, 心室性期外収縮, 心室細動, 心室頻拍をキヤツチした.
QT延長症候群の診断は第一にI, V5, 6のT波の異常(平低または巨大)に注目する. T波の各心拍における形の変動の有無を調べる. そしてQT間隔の測定をする. 失神発作の有無を尋ねる. 運動負荷直後は正常人は心拍数は増加し, 逆にQTは短縮するが, QT延長症候群は各々の変化が鈍い. 生活管理も今後検討さるべき大切な問題となる.
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© 一般社団法人国立医療学会
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