医療
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重症心身障害者における電気生理学的検討
中野 千鶴子樋口 和郎久保 聖子高井 輝雄飯田 光男
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1989 年 43 巻 5 号 p. 550-554

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抄録

重症心身障害児・者のうち高度の嚥下機能障害を伴う最重度の17例について, 短潜時体性感覚誘発電位(SSEPs), 聴性脳幹反応(ABR), 眼輪筋反射を検討した. 1) 17例全例に異常所見が得られ, 脳幹を含めた上位中枢の機能障害が示唆された. 2) SSEPsでは, N1の消失や低振幅化, P3-N1頂点間潜時の延長が11例に認められた. このうち頭部CTで広汎な嚢胞状低吸収域を示す2例にP1潜時の延長があり, 頸髄あるいは下部延髄の機能異常が考えられた. 3) ABRではI-V波頂点間潜時の延長や低振幅化が8例にみられ, 脳幹機能障害が示唆された. 4) 眼輪筋反射ではR2, R2'の潜時延長や消失が11例にあり, 脳幹を含めた上位中枢の機能異常が考えられた. 5) 非侵襲的神経学的機能検査法としてSSEPs, ABR, 眼輪筋反射を組み合わせて病態を検討することは有用であると考えられた.

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© 一般社団法人国立医療学会
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