医療
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冠危険因子の検討
―冠危険スコアおよび冠攣縮危険スコアの有用性―
五十嵐 丈記矢加部 茂竹尾 貞徳前川 宗一郎吉田 康洋池尻 公二
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1990 年 44 巻 10 号 p. 969-973

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抄録
4大危険因子のうち, 高コレステロール血症と喫煙(20本/日以上)が冠攣縮促進的に, 高血圧と糖尿病が抑制的に作用するという仮説をたて, 虚血性心疾患患者を対象に冠危険スコア: coronary risk score (CRS)と冠攣縮危険スコア: coronary spasm risk score (CSRS)を求めた. 高コレステロール血症の代りにより良い指標と考えられる冠動脈硬化指数(coronary atherogenic index)=TC/HDL-C×アポリポ蛋白B/A-I>5.0を用いた. CRSはこの4項目に各々1点を与え加算した点数とし, CSRSは前2項目に各々+1点, 後2項目に各々-1点を与え, 符号を考慮し加算した点数を各人のCSRSとした.
A)心筋梗塞群, B)安静・労作狭心症群, C)労作狭心症群間におけるCRSに有意差はみられなかつたが, CSRSは労作狭心症群で有意に低かつた. 一般に安静狭心症は労作狭心症に比べ冠動脈収縮ないし攣縮の関与が大きいと考えられているので, この結果から前述の仮説が妥当なものと考えられた.
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© 一般社団法人国立医療学会
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