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橈骨遠位端骨折に対する経皮的ピニング法の手術成績とその分析
平松 隆久芳 昭紘西村 行政前川 宗一郎吉田 康洋池尻 公二
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1990 年 44 巻 12 号 p. 1224-1228

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抄録
過去9年間に32例の橈骨遠位端骨折に対して早期徒手整復後, 経皮的ピニング法を行った. このうち予後調査が可能であった14例について, 直接検診とX線像により予後因子を検討した結果, 以下のことがわかった.
術後長期にわたって問題となる疼痛はなく, また, ピニングによる合併症もなかった. 握力の低下, 手関節可動域制限(とくに回外制限)の存在は愁訴を後遺する因子となっていた. 握力は橈骨短縮とvolar angleの逸脱により悪化していた. 回外もvolar angleの不良整復により悪化する傾向がみられた. このことから, 本骨折のX線学的予後因子は橈骨短縮およびvolar angleの整復の良否にあることがわかった. 今回の調査症例の術後成績はおおむね満足すべきものであり, これは外固定期間が短いことも一因と考えられた.
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© 一般社団法人国立医療学会
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