抄録
過去9年間に32例の橈骨遠位端骨折に対して早期徒手整復後, 経皮的ピニング法を行った. このうち予後調査が可能であった14例について, 直接検診とX線像により予後因子を検討した結果, 以下のことがわかった.
術後長期にわたって問題となる疼痛はなく, また, ピニングによる合併症もなかった. 握力の低下, 手関節可動域制限(とくに回外制限)の存在は愁訴を後遺する因子となっていた. 握力は橈骨短縮とvolar angleの逸脱により悪化していた. 回外もvolar angleの不良整復により悪化する傾向がみられた. このことから, 本骨折のX線学的予後因子は橈骨短縮およびvolar angleの整復の良否にあることがわかった. 今回の調査症例の術後成績はおおむね満足すべきものであり, これは外固定期間が短いことも一因と考えられた.