日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
症例報告
食道裂孔ヘルニアによる食道拡張を契機に嚥下性失神と一過性うっ血肝をきたした1例
水流 大尭小森 圭司和田 将史井星 陽一郎隅田 頼信吉本 剛志伊原 栄吉原田 直彦中牟田 誠小川 佳宏
著者情報
ジャーナル フリー

2020 年 117 巻 10 号 p. 907-913

詳細
抄録

症例は76歳女性.原因不明の食後意識消失発作を繰り返していた.胸腹部造影CT検査で左心房・下大静脈を圧排する食道裂孔ヘルニアを認め,上部消化管X線検査時の発泡剤服用でヘルニア腔の拡張とともに意識レベル低下をきたした.以上から,食道裂孔ヘルニアに起因した嚥下性失神と診断した.肝胆道系酵素の上昇は下大静脈圧排によるうっ血肝が原因であった.食後の意識消失発作を認める場合では本症を念頭に置く必要がある.

著者関連情報
© 2020 (一財) 日本消化器病学会
前の記事 次の記事
feedback
Top