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家族性心筋症の1家系
江尻 成昭三橋 武司古梶 清和申 範圭吉田 康洋池尻 公二
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1990 年 44 巻 9 号 p. 927-930

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抄録

肥大型心筋症(HCM)様所見と拡張型心筋症(DCM)様所見が混在した家族性心筋症と考えられた1家系を報告する. 母親が突然死. 同胞3名が心筋症(2名DCM, 1名MCM)と診断され, その子供のうち2名がHCMを疑われている. ここでは, 2症例を呈示する. 症例1(37才男), 肺水腫で緊急入院. 心エコーでは, 左室拡大と収縮力低下, ASHを認めた. 冠動脈造影は正常. 右室心内膜心筋生検では, 中等度の心筋肥大と錯綜配列, 間質の線維化, 筋原線維の粗鬆化を認めた. 症例2(35才男), 動悸発作で入院. 心電図はWPW(A)症候群, 心エコーでは, ASHはなく左室拡大と収縮力低下を認めた. 冠動脈造影は正常. 右室心内膜心筋生検では錯綜配列が認められ, 症例1と同様の所見であつた. 2症例とも臨床的にはDCMと考えられたが, 病理組織学的所見よりはHCMと考えられ, 2症例ともHCMよりDCM類似病態へ移行したと考えられた.

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