医療
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肝疾患の食事療法―肝硬変を中心に
高橋 陽
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1991 年 45 巻 11 号 p. 1083-1087

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抄録
肝疾患の食事として高蛋白・高カロリー食が根強く流布しているが, 肝疾患の病態,病勢により適切な食事内容の検討が必要な時期に来ていると考える. Patekの考え方が日本でも取入れられ今日に至っているが, 栄養摂取量が時代とともに変って来ていることを考えると肝臓の処理能力に見合った食事基準を設定する必要性を痛感する. 肝臓の代謝が比較的良好に保たれている慢性肝炎では標準体重比110以上が60%占めている. 偏食を避け, 標準体重比110-100を目標としてウイル肝炎の治療に専念する. 肝硬変では標準体重を基準とし, 体重当り30kcal, 蛋白0.8g(プロテイン・スコア85%以上)の食事を設定して, 代謝の活性化をはかり, 良好な成績を得ている. 高アンモニア血症をきたした肝性脳症の場合は余剰の窒素を15%糖液で燃焼させ, 血中アンモニアが安定してから処理し得る蛋白量を設定し, 在宅療養に切り替えることにより肝性脳症発現を低減することが可能となった.
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© 一般社団法人国立医療学会
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