抄録
患者は64歳女性, 16歳初経, 52歳閉経, 3妊2産. 帯下, 不正性器出血を主訴に来院. 子宮の小児頭大の腫大と, 生検で未熟な腺癌を認めたため, 両側卵巣摘出+子宮全摘術を施行した. 摘出標本では体部内腔に白色の柔らかい腫瘤を認め, 組織学的には腺癌の部分と軟骨肉腫, 横紋筋肉腫の部分が混在していたため, malignant mixed mesodermal tumorと診断した. また, 膀胱, 腹膜にも播種性転移が認められたため, 術後化学療法(CAP: 2クール, エトポシド: 50mg/day, 14日間, CYVADIC: 1クール)を施行したが, 術後6カ月で腹膜播種性転移によるイレウスにて死亡した. 剖検所見では腹部臓器が腫瘍転移により一塊となり, 癒着していた. 組織学的には腺癌成分は少なく, 粘液基質を背景にした肉腫成分がほとんどを占め, 予後の悪さは肉腫成分を反映していると思われた.