抄録
本院歯科・口腔外科における最近11年間の外歯瘻に関する臨床統計的観察を実施し, 若干の知見を得たので, その概要について報告する. 症例は, 昭和53年4月から昭和63年12月までの約11年間に, 当科を受診した21症例で, 全患者総数の0.15%を占めていた. 年齢については, 20歳代が5例と全症例の23.8%を占め最も多く, 次いで60歳代の4例であった. 原因歯の疾患別では, 根尖性歯周炎が11例で全症例の47.8%を占め最も多く, 次いで, 歯根嚢胞3例(13.0%), 智歯周囲炎3例(13.0%)などの順であった. 当科での処置をみると, 抜歯+瘻孔閉鎖術6例, 抜歯だけ4例, 根管治療4例などであり, 外科処置が81.0%と大部分を占めていた.