医療
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腹腔鏡所見からみた肝硬変の予後についての検討
田島 平一郎林田 宣久岩永 圭介松本 一成宇佐 利隆
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1991 年 45 巻 6 号 p. 545-549

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抄録
78例の肝硬変患者の予後と腹腔鏡からみた肝表面像の関係について検討した. 結節の球形度が強くなるにつれて肝硬変の生命予後は不良であった. 半球状結節は肝不全状態の肝硬変の肝表面に見られ, 診断確定後早期に肝不全で死亡する例が多かった. 丘状結節の肝硬変は肝不全で死亡する例と肝癌で死亡する例があり, 肝炎の活動性が強い例では肝不全で死亡する可能性が高いと思われた. 編平状結節の肝硬変はHBe抗原陰性で肝炎の活動性が鎮静化したB型肝硬変に特徴的な肝表面であった. 肝硬変の予後としては扁平状結節が最も良く, 診断時の肝予備能も良好であった. 肝表面を観察することで肝硬変の予後と合併症の予測が可能であり, 肝硬変の診断及び治療に関しては腹腔鏡検査は不可欠と考えられる.
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© 一般社団法人国立医療学会
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