1991 年 45 巻 9 号 p. 851-854
SMON患者の麻酔について従来全身麻酔を選択する傾向があるが, 当院で最近経験した7例の麻酔から, 術中循環動態の変化ならびに術後のSMON後遺症の変化から比較検討した.
全身麻酔単独2例では, 術中高血圧をきたし降圧薬を必要とし, 硬膜外麻酔5例では血圧下降にてうち4例に昇圧薬を必要としたが, 硬膜外麻酔例の方が血圧のコントロールは容易であった. 硬膜外麻酔単独あるいは全身麻酔・硬膜外麻酔併用5例にてSMONの神経学的後遺症の悪化は認めずまた術後鎮痛に優れていることから, 硬膜外麻酔単独あるいは全身麻酔と硬膜外麻酔の併用はSMON患者の麻酔として有用であると考えられる.