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院における高齢者急性骨髄性白血病の臨床的検討
名倉 英一中山 誠子木村 昌之篠田 昌孝今村 陽子山田 英雄
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1992 年 46 巻 11 号 p. 916-924

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抄録

最近6年間に当院で経験した61~89歳のAML 9例を検討し, 問題点の解明を試みた. 9例中, de novoと考えられるAMLが4例, 骨髄異形成症候群(myelodysplastic syndrome以下MDS)からのは5例で, 5例に無症候性胆石, 肛門周囲膿瘍, 慢性気管支炎, 非定型性抗酸菌症, 肺結核を合併していた. de novo AMLは末梢白血球数は多く, 骨髄は正ないし過形成で, MDS由来は白血球数は少なく, 骨髄は低形成が多かったが, 血液所見での鑑別は困難な症例もあった. de novo AML 4例中に3例にCRを得たが, CR期間は6.5~9.5月と短く, 寛解導入時に好中球500/mm3以下の日数が14~25日と長く, CR後に骨髄低形成状態が遷延した. MDS由来では, 2例が感染症のため治療できず死亡し, 他の3例中Ara-C少量で治療した1例のみCRを得た. 高齢者AMLは腫瘍の性質, 宿主の合併症. 治療適応, 至適な治療方法の確立など克服すべき課題が多い.

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