1992 年 46 巻 11 号 p. 925-928
アトピー性皮膚炎に伴った白内障の術後に発見された網膜剥離の1例を報告する. 患者は16歳の男子であり, 左眼白内障に対して超音波水晶体乳化吸引術を行ったところ, 術後に左眼底鼻側―下鼻側に網膜剥離, 下鼻側硝子体基底部に約60°におよぶ網膜裂孔が発見された. 経強膜手術で網膜は一旦復位したが, 術後経過観察中に再剥離した. 水晶体後嚢と毛様体突起の癒着が観察され, 後嚢の収縮が裂孔閉鎖不完全の原因と考えられたため, 後嚢切除, 硝子体切除術を行い, 網膜は復位した.
アトピー性皮膚炎に白内障と網膜剥離が合併した症例に対する白内障手術に際しては, 硝子体基底部への牽引を解除するため後嚢も切除すべきことがある.