医療
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外傷性内頸動脈閉塞症の1例
湯浅 隆史大西 英之川口 正一郎二階 堂雄次
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1992 年 46 巻 2 号 p. 130-134

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抄録
症例は10歳の女児で, 転落し頸部を過伸展した6時間後より左片麻痺が徐々に出現してきた. CTにて右前頭葉内に梗塞巣を認め, 脳血管撮影では右内頸動脈が起始部から2cm上方の部分より眼動脈起始部まで強度に狭窄しており, それより遠位部で閉塞していた. 保存的に加療し, 5日目には片麻痺は消失したが, 以後3日に一度程度の一過性左上肢脱力発作が出現するため, 右浅側頭動脈・中大脳動脈吻合術を施行し, 術後より症状は消失した.
本例は外傷性内頸動脈解離による閉塞症と考えられるが, 症状発現にはhemodynamic mechanismの関連が強く示唆され, 同病態におけるEC-IC bypassの有用性を強調した.
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© 一般社団法人国立医療学会
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