抄録
固形癌に対する癌化学療法は, 手術の補助療法として, または切除不能例, 再発例に対して, 外来通院による内服抗癌剤の長期連用が主流となっている. とくに5-FU系抗癌剤の使用されることが多い. 5-FUおよびそのマスク型の抗癌剤を手術前に投与し, 術中採取した癌組織, 非癌組織などに存在する5-FUおよびマスク型薬剤の灘度を総計196例について検討した. 検索薬剤はtegafurカプセル, 細粒, 静注剤, carmofur錠, 細粒, tegafurとuracilの合剤UFTカプセル, 5-FU錠である. 一部の薬剤ではurokinase, dextran sulfateとの併用を試みた. 良性腫瘍組織内5-FU濃度は低濃度であった. 同量の内服剤と静注剤では静注剤が高濃度の移行を示した. カプセル, 錠と細粒では, 粒が高濃度を示した. UFTでは血中濃度に比べてuracilの高濃度移行を認めた. urokinase, MDSとの併用例では, 全般に単独使用例に比べて濃度の上昇を認めたが, とくに癌組織の5-FU値が高濃度であうた.