抄録
γ-globulinの大量療法が有効とされる種々の免疫複合体病が, 次々に実証されている. しかしこのγ-globulinの作用機序についてはいまだ究明されていない. このたび, 第VIII因子阻害物質陽性の非血友病患者の血漿を用いて, 血液凝固時間に対するγ-globulinの影響につきin vitroで検討し, γ-globulinを混和させることにより活性化部分トロンボプラスチン時間(APTT)が著しく短縮し, ControlでのAPTTとほぼ同じレベルにまで改善する事が判明した. この研究から大量のγ-globulinは, 抗原抗体の結合部分に作用し, 抗体を遊離させる機序が考えられた.