医療
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自然吸収を示した硬膜外血腫
高里 良男浅野 務林 弘幸
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1992 年 46 巻 5 号 p. 358-361

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抄録

硬膜外血腫は大多数が急性に発症し, 遅滞なく緊急血腫除去術を施行しなければならない代表的外傷性疾患の一つであることは現在でも間違いない. しかし軽症または無症状で, 慢性に経過する硬膜外血腫が存在することがX線CTの導入以来よくわかってきた. このような状況下で自然吸収を示した硬膜外血腫の報告がなされるようになったが, 我々も同様の症例を経験した. 血腫の厚さは最大18mmで右側頭部にあり, 2.5mmの正中偏位を伴っており, 血腫直上には線状頭蓋骨骨折があった. 意識は清明で, 神経学的局所異常を認めなかった. 初期に頭痛, 嘔吐を認めたが早期に消失し, 血腫は2週間で縮小傾向となり4週目にはほぼ消失した. このように硬膜外血腫の一部に保存的に治療可能なものがあることを, その治療方針を決める条件や吸収機序など考察を加えて報告した.

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