医療
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呼吸器疾患とアンジオテンシン変換酵素
上田 英之助
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1993 年 47 巻 2 号 p. 85-91

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抄録
アンジオテンシン変換酵素(ACE)は生理的には主として肺で作用している. サルコイドーシス(「サ」症)患者血清中のACE活性が有意に上昇していること, 及び血清ACE活性を測定することはこの疾患の臨床経過をみるのに有用であることが明らかになった. 「サ」症以外では硅肺, 活動性肺結核, 粟粒結核, レプラ, 肺住血吸虫など肉芽腫を作る疾患で高値を示す場合があることがあるが「サ」症程高値ではなく, 血清ACEの診断的価値は「サ」症に特異性は高いが, 感度は低いといえよう. 他方血清ACE活性が低値を示すことがある呼吸器疾患として重症肺結核, 慢性閉塞性肺疾患, 間質性肺繊維症, 自然気胸, 肺癌, 肺炎, ARDSなど肺血管床の減少が考えられる疾患が報告されている. このことから血清ACE活性が低いのは肺血管床の機能不全を示唆する現象であると考える人もある.
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