医療
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HCV関連肝細胞癌の臨床的検討
―とくにその予後に関して―
竹崎 英一佐藤 理伊藤 公訓村上 信三香川 和徳大森 仁也
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1993 年 47 巻 2 号 p. 92-98

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抄録
血清HCV関連マーカーとHBV関連が測定されている肝細胞癌116例を対象にして, とくに予後に関して, 臨床的検討を行った. HCV関連肝細胞癌の肝細胞癌診断時の平均年齢はHBV関連肝細胞癌より有意に高齢であり, 生存期間の延長が認められた. 肝細胞癌診断時の基盤にある慢性肝疾患にChild-Pugh分類による重症度に差はなかったが, Child-pugh Bクラスに属するHCV関連肝細胞癌患者に外科的切除, TAEあるいはTAIが行われた割合が高かった. さらに, HBV関連肝細胞癌では血清AFPと血漿PIVKA IIの両方が陽性を示す患者の割合が高かった. これらの要因が相互に関連し, HCV関連肝細胞癌で外科的切除, TAEあるいはTAIが行われた患者の占める割合を有意に上昇させ, HBV関連肝細胞癌に比べて悪性度が低く, 生存期間を延長させていることが示唆された.
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© 一般社団法人国立医療学会
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