1993 年 47 巻 9 号 p. 685-690
Philadelphia染色体(Ph1), Major breakpoint cluster region (M-BCR)再構成を認め興味ある経過をとった白血病2症例を経験した. [症例1]70歳女性. 主訴:胸痛. 血液所見:WBC 19,100/μl(Lybl 27%), 骨髄NCC 41.7×104/μl(Lybl 72.0%). 芽球はCD 10, CD 19陽性. Ph1, M-BCR再構成を認めた. 化学療法(L-DVP)にて完全寛解に導入され, Ph1, M-BCR再構成ともに消失した. Ph1(+)急性リンパ性白血病と診断し地固め療法を施行. [症例2]55歳男性. 主訴:発熱, 右季肋部痛. 血液所見:WBC 127,500/μl(blast 23%), 骨髄NCC 82.4×104/μl(blast 64.4%). 芽球はmixed phenotypeを示し, Ph1, M-BCR再構成を認めた. 化学療法(VP)にて血液学的寛解が得られたが, Ph1, M-BCR再構成は残存した. 慢性骨髄性白血病(CML)と診断しinterferon療法を施行. Ph1(+)急性白血病とCML急性転化とは治療体系が異なるため, M-BCR再構成を認めた場合には, 治療経過を観察して両者を鑑別することが必要である.