1993 年 47 巻 9 号 p. 710-714
症例は27歳, 女性. 昭和62年より, 気管支喘息発作を繰り返していた. 平成元年3月より, 喘息発作は認めず, 一日300ml以上に及ぶ卵白様喀痰の増加を認め, 平成元年4月, 呼吸困難を生じ入院した. 胸部X線所見にて待に異常を認めなかった. ネオフィリン, 塩酸プロカテロールの投与にて軽快せず, β刺激剤の投与により症状は増悪した. 喀痰の成分分析を行い, 喀痰中アルブミンが1.26mg/mlと高値であった. アルブミンは喀痰中の血清成分漏出のマーカーであり, 本症例は気管支喘息の経過中血清成分が気管支腔内に漏出し気管支漏が発症したと考えられ, ベタメタゾン2.0mgを投与した. 第7投与日に喀痰量は8mlと著減し, また, 喀痰中アルブミンは0.08mg/dlと低下し症状も軽快した. 感染症の合併が否定された気管支漏の症例には積極的な副腎皮質ステロイドホルモンの投与が有効と考えられた.