抄録
可溶性インターロイキン-2レセプター(sIL-2R)を血液悪性疾患59例(平均年齢59歳), 自己免疫疾患36例(平均48歳), 大動脈瘤16例(平均69歳)に健常人39例(平均33歳)をコントロールとして測定した. 健常人のsIL-2Rの平均値+1 SDは397.90±131.57U/mlであった. 治療前の悪性細網症4例, NK型のLGL白血病1例, ATL 1例は平均53,268.70±49,365.60U/mlと著明高値を示し(特にLGL白血病1例は135,000U/mlと著明高値), 治療後の悪性細網症5例は1,983.60±3,377.85U/mlと有意な低下を示した. 悪性リンパ腫(非ホジキンリンパ腫14例, ホジキン病4例)の治療前は5,114.50±4,580.46U/mlで治療後は有意な低下を示した. 寛解中のCMIL 7例の平均値は834U/ml, 多発性骨髄腫12例とマクログロブリン血症1例は1,033U/ml, MDS 6例は981U/ml, SLE, RA 17例は治療中であり1,552U/ml, ITP 19例は734U/mlでコントロールに比べ有意な高値を示した. AML 8例中7例は正常範囲であった. 大動脈瘤16例は1,303.50±751.81U/mlで正常人に比べ有意な(p<0.01)高値を示した.
sIL-2Rは, AMLを除く血液悪性疾患と自己免疫疾患で有意な高値を示し, 治療の指標になると考えられた. 本来細胞膜表面にIL-2R β鎖のみ発現するといわれるNK型LGL白血病にsIL-2R(α鎖)が著明高値を示したことは, sIL-2Rの由来が腫瘍細胞からではなく, 正常の活性化T細胞から放出された可能性を示唆した. 大動脈瘤でも高値を示したことからIL-2の動脈硬化への関与が示唆された.