抄録
サイトメガロウイルス(CMV)感染症におけるウイルス尿症の臨床的意義を明らかにするために, 種々のCMV感染者の尿中のCMV量を測定し, 臨床症状との関係を検討した. 無症候性感染者6例では100.5(TCID50/0.2ml)5例, 102 1例と尿中ウイルス量は少なく, 新生児肝炎の3例や伝染性単核球症の症状を示した4例では, 102.5-3.5のウイルス量を尿中に排泄していた. 一方, 高度の肝脾腫や肺炎, 血小板減少などの重篤な症状を伴った4例では, 105.5以上の多量のウイルスを尿中に排泄しており, 臨床症状の重篤度と尿中ウイルス量との間に有意の関係を認めた.
以上の結果から, 尿中CMV量の測定は, 症候性CMV感染の臨床診断に有用な方法の一つと思われた.