医療
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下血を主訴とした十二指腸カルチノイドの1例
古川 正人内野 広文中田 俊則酒井 敦古井 純一郎三根 義和山田 雅史近藤 敏城野 英利伊佐 勉八坂 貴宏玉井 修中平 孝明藤井 秀治
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1994 年 48 巻 2 号 p. 136-139

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抄録
下血で発症した十二指腸カルチノイドの1例を経験した. 症例は49歳, 男性, 黒色便を認め当科に入院した. 低緊張性十二指腸造影では, 十二指腸下行脚内側に陰影欠損を認め, 圧迫像では, 隆起性の腫瘍性病変があり, その辺縁はスムースかつ明瞭に描出され, 腫瘍の一部は陥凹し, 潰瘍を形成し, 潰瘍底は不整であった. 内視鏡検査では, 十二指腸乳頭に隣接して, 著明な腫大がみられ, 中心部は潰瘍を形成し, 潰瘍底よりの生検にて腺癌が疑われ, 十二指腸癌の診断のもとに膵頭十二指腸切除術を施行した. 腫瘍の大きさは, 約2.5×2×1.5cmで, 粘膜下腫瘍の形態を示し, 中心部には潰瘍の形成を認めた. 顕微鏡的には, 腫瘍細胞は胞体に乏しい円形の核を有し, 筋層に浸潤した部分でリボン状の形態を示し, グリメリウス染色で陰性であったが, NSEとクロモグラニン染色で陽性を示し, さらに, 電子顕微鏡的に少数ながら胞体内にdense core granuleが認められ, カルチノイドと診断した.
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© 一般社団法人国立医療学会
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