1994 年 48 巻 6 号 p. 409-414
慢性呼吸不全患者14例を対象に歩行時酸素投与量の決定方法について検討した. 歩行時酸素投与量として4段階の酸素量を設定し, 廊下歩行におけるSpO2, 脈拍数, 持続歩行距離について測定して各酸素投与量の段階を比較検討した. 歩行時の酸素投与量としては“SpO2が3分間以上の定常状態を維持し, かつ90%以上を保つ最抵の酸素投与量”という基準が, 歩行時の脈拍数上昇値が前段階よりも有意に低く, 後段階と同等であることから妥当であると考えられた. 歩行時に酸素投与量を増量することによる効果は, 歩行時のSpO2値を上昇させ脈拍の上昇を抑制し, 自覚症状の改善, 持続歩行距離の延長に有用であった.