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原発性甲状腺機能低下症を合併した原発性副甲状腺機能亢進症の1例
有馬 哲彦松田 美登里森田 茂樹
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1994 年 48 巻 8 号 p. 643-646

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抄録
原発性甲状腺機能低下症と原発性副甲状腺機能亢進症の合併例に対し, 甲状腺ホルモンの補充療法を行い, 血中PTH値, 血中カルシウム値の推移を観察し得たので報告する. 症例は40歳, 男性. 平成5年4月, 原発性甲状腺機能低下症(TSH=147μU/ml, T4=5.1μg/d1, T3=0.88ng/ml), および原発性副甲状腺機能亢進症(Ca=11.2mg/dl, HS-PTH=1000Pg/ml, intactPTH=179pg/ml)と診断された. 甲状腺ホルモンの補充療法を行ったところ, 血中カルシウム値は有意な変動を示さなかったが, HS-PTH値は投与前1000pg/mlが, 投与後760pg/mlに低下した. 甲状腺ホルモン投与により標的臓器のPTHに対する感受性が回復したため, 副甲状腺腺腫からのPTH分泌が自己制御されたのではないかと考えられた.
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