医療
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国立医療機関における痴呆と寝たきり高齢者の実態
―4. 痴呆患者の日常生活動作(ADL)―
山崎 正数児玉 秀敏
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1995 年 49 巻 11 号 p. 937-943

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抄録
全国の国立医療機関167施設に入院中の65歳以上の痴呆患者2341名のADL(着脱衣, 入浴, 排泄, 食事)と睡眠状況, 褥瘡の有無を調査した. 対象を痴呆のみの患者(673名)と寝たきりを伴う痴呆患者(1668名)に分けて検討した. 総体的に, 痴呆の程度が増悪するほどADLの機能は著しく低下したが, 食事の機能は最高度の痴呆でも保持されているものが多かった. 痴呆の程度が同程度でも, 寝たきりを伴うとADLの機能はより一層低下していた. 痴呆患者では睡眠障害を呈しているものも多く, 高度ないし最高度痴呆患者では寝たきりを伴わないと不眠, 昼夜逆転のものが多く, 寝たきりを伴うと傾眠のものが多かった. 医療関係者の努力にもかかわらず, 痴呆が進行したほど褥瘡を有する患者が多く, この傾向は寝たきりを伴う痴呆患者ではより顕著であった.
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© 一般社団法人国立医療学会
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