医療
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臍帯血のHBVマーカー
濱田 嘉徳辻 正子長町 典夫宮本 直紀西内 憲武本 幹彦橋本 公近藤 肇廣瀬 修一香川 正博
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1996 年 50 巻 10 号 p. 726-729

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抄録
B型肝炎の母児感染を検討する目的で臍帯血のHBVマーカーを検査した. 1980年から1989年までの10年間の分娩数4,604例の内HBVキャリアーならびに感染既往の分娩は68例(1.4%), この内HBe抗原陽性は22例(32.3%)であった. 母体血液HBe抗原陽性群の臍帯血のHBs抗原は21例中1例(4%)に陽性, HBe抗原は20例中15例(75%)に陽性であった. 臍帯血のHB抗体の検査ではHBe抗体, HBc抗体ともに100%に証明された. 臍帯血の総IgMはHBs抗原陽性42例(このうちHBe抗原陽性7例)に検査され20mg/dl以上を示した例は7例(このうち60mg以上は1例)であった. 予防HBIGならびにワクチンが入手できない当時, 総IgM 60mg以上を示し母体HBe抗原陽性の1例を含む計2例が生後3カ月でキャリアー化した. B型肝炎母子感染防止事業開始以後にはHBe抗原陽性母体からの新生児16例中1例(6.2%)にキャリアー化がみられた. 2年間以上の追跡調査で, 3例を除きキャリアー化はみられなかった.
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© 一般社団法人国立医療学会
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