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妊娠末期の胎児Well-Being評価法に関する研究―胎児胎盤機能検査と分娩時臍帯動脈血ガス分析―
木岡 寛雅藤井 恒夫中田 奈央中川 仁志谷本 博利谷岡 慶英松尾 光將内藤 博之
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1996 年 50 巻 3 号 p. 185-190

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抄録

妊娠末期の胎児管理法について検討した. 分娩時臍帯動脈血ガス分析(UABG)を指標として妊娠末期に行われる胎児胎盤機能検査(尿中E3, 血中hPL, NST & VAST (vibro-acoustic stimulation test))について検討した結果, 1. E3 10ug/ml≦群はUABG pH7.32±0.01で, <10ug/ml群pH7.28±0.02と差はなかった. 2. hPLについては上昇群のpHは7.37±0.02で, 不変群pH7.32±0.01, 低下群pH7.28±0.03と比べて有意に高かった(p<0.05). 3. VASTについて反応パターン別に調べnegative response, non-responseの群のUABGのpHの低下がみられたが有意差はなかった. また, UABGで酸血症(アシドーシス, pH7.20未満)を示した症例についてその周産期因子について検討した. 母体側の周産期因子としては, 初産婦, 里帰り分娩, 妊娠中毒症が, 胎児側としては臍帯巻絡, 羊水混濁があげられた. 分娩前の胎児胎盤機能検査で異常を認めた症例はいずれの検査でもほぼ20%くらいであり, とくに鋭敏な検査法はなかった. したがって, 妊婦に侵襲の少い検査を可能な限り行い, 異常を認めたhigh risk群についてintensiveに経過観察をしていくことが重要ではないかと考えられた.

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© 一般社団法人国立医療学会
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