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コントロール不良の糖尿病症例に対するα-glucosidase阻害剤の効用
若杉 英之新生 修一貞元 健一大島 彰
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1996 年 50 巻 3 号 p. 191-194

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抄録

従来の治療に加えα-glucosidase阻害剤(Glucobay, すなわちAcarbose)を使用したときの効果につき検討した. 外来通院患者91名のうち従来の治療で血糖コントロールが不充分であった31名(34.1%, 男性18, 女性13名)に本剤が経口投与された. 投与量は毎食前50または100mgであった. 対象症例の内訳は食事・運動療法のみ21名中5名, SU剤内服46名中20名, インスリン注射24名中6名で, NIDDM 29名, 膵性糖尿病2名であった. 平均年齢59.9歳, BMI 22.6で, 胃切除の既往が6例にみられた. 使用後(平均4.7月)空腹時血糖, 食後血糖, HbA1値は有意に低下し(それぞれP<0.05, <0.01, <0.01), 各々31.8%, 63.6%, 54.5%の症例で改善をみた. 85.7%の症例で服薬状況は良好で, 服薬中止にいたる副作用は認められなかった. 胃切除例でDurnping症状は消失し, 肥満糖尿病にも有用であった. 以上, 従来の治療で血糖コントロール不良であった症例にα-glucosidase阻害剤を併用し半数の症例で改善をみた.

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