医療
Online ISSN : 1884-8729
Print ISSN : 0021-1699
ISSN-L : 0021-1699
口腔に発生したリンパ上皮性嚢胞の2例
玉城 廣保山田 博基安田 順一谷口 誠治加藤 泰
著者情報
ジャーナル フリー

1996 年 50 巻 3 号 p. 224-227

詳細
抄録

口腔に発生するリンパ上皮性嚢胞はまれである. われわれは口腔粘膜に発生した本嚢胞の2例を経験したので報告した. 症例はともに女性で年齢がそれぞれ66歳と48歳, 主訴は舌下面の小腫瘤であった. 本嚢胞は口腔粘膜直下に存在し小腫瘤として観察された. 発生部位は舌小帯に隣接した舌下面で, 腫瘤の大きさはそれぞれ6×4, 5×5mm大であった. 腫瘤の色調は淡白色ないし黄白色を呈し, 自覚症状の訴えはみられなかった. 治療として保存的外科切除を行い, 観察した期間はそれぞれ3カ月と6カ月であったが再発はともに認めていない. 組織学的には, 重層扁平上皮で被覆された嚢胞壁に, この嚢胞を取り囲むようにリンパ組織が観察された. 嚢胞腔内には剥離細胞や角化変性物がみられた.

著者関連情報
© 一般社団法人国立医療学会
前の記事 次の記事
feedback
Top