医療
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鬱血性心不全治療に際しての血漿フィブリノーゲンの変化
柴田 勝憲
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1996 年 50 巻 5 号 p. 352-356

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抄録

心不全軽快時の指標は, 血漿フィブリノーゲン変化が本当か, 血漿量変化か, 心不全で入院した連続22名で, 感染症, 急性心筋梗塞を合併せず退院可能例の血漿フィブリノーゲン, プロトロンビン時間, ヘパプラスチンテスト, ヘマトクリットを一週間ごとに測定. 入院時フィブリノーゲン277.6±115.1mg/dl, 一週後371.9±120.6mg/dl(p<0.01), 二週後366.6±94.7mg/dl(p<0.005), 三週後376.8±94.4mg/dl(p<0.005), 四週後355.1±100.7mg/dl(p<0.01)と変化した(paired t-test). プロトロンビン時間, ヘパプラスチンテスト, ヘマトクリットは変化なかった. フィブリノーゲンは年齢, 性で変化し200mg/dl以上が正常というわけではなく, 入院時高値でも病状改善とともに上昇する我々の成績は, 鬱血性心不全非代償期に肝臓でのフィブリノーゲン形成障害や崩壊を来すという説と合致する. 結論として, フィブリノーゲンは諺血性心不全や, 強心薬の有効性の評価に有用な指標となる.

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