1996 年 50 巻 6 号 p. 430-435
未破裂脳動脈瘤に対し3D-CT Angiography(以下3D-CTA)を施行し, 従来のDSAと対比し, その有用点, 問題点につき検討した. 対象は, 未破裂脳動脈瘤36例45動脈瘤(VA解離性動脈瘤2例含)とした. 嚢状動脈瘤は45個全例検出可能であった. 複雑な形態の前交通動脈部例, 内頸-後交通動脈分岐部例では動脈瘤の立体構造把握がDSAよりも容易であり有用であった. 内頸動脈分岐部動脈瘤4個中2個でDSAのルーチン投影方向での死角を補いえた. 一方, 前脈絡叢動脈, 細い後交通動脈などの瘤周囲の小血管の描出は不能であった. また, 前交通動脈部, 低位のC2部内頸動脈部, 中大脳動脈部では蝶形骨にて視野が制限され動脈瘤の全貌の描出が不可能な例も存在した. 解離性動脈瘤では, 罹患血管の欠損と壁内血栓の一部が結節上に認められた. 3D-CTAの診断能力は, DSAにまさるとも劣らないと考えられた.