1996 年 50 巻 9 号 p. 601-606
妊娠中を契機に発見される子宮頸癌例について, 細胞診の異常や子宮頸癌発見頻度, 発見時期, 妊娠の成り行き, 診断, 治療などについて最近各種データを示し, 考え方の変遷や現代での問題点などを解説した.
妊娠中の子宮頸癌は確実に増加していて, それも過去癌が多いといわれた多産婦優位での発生ではなく, 未産婦にも多く認められるのを特徴としている.
診断に関しては, 細胞診の過小評価が多いなどの問題点はあるが, 非妊時同様有効な診断法といえる.
治療は, 上皮内癌や微小浸潤癌例の多くは子宮頸部円錐切除術を実施している. 手術の時期については, 妊娠中に行うべきとする考えと, 一部を除けば分娩後に行うとの考えがある.