医療
Online ISSN : 1884-8729
Print ISSN : 0021-1699
ISSN-L : 0021-1699
Weber症候群をきたしたbasilar top aneurysmの1例
相澤 仁志山口 修二森田 一豊佐々木 信博飛世 克之田村 康夫川田 佳克中井 啓文
著者情報
ジャーナル フリー

1997 年 51 巻 1 号 p. 41-44

詳細
抄録
脳底動脈瘤はしばしば無症候性で, ときに脳幹虚血, 脳幹や脳神経の圧迫, クモ膜下出血, 水頭症をきたすことがある. 脳底動脈遠位末端部動脈瘤によって脳幹梗塞と脳幹の直接圧迫による症状を併せもっ症例を報告した. 症例は右片麻痺を有する71歳の女性で, 意識障害と左不全麻痺のため入院した. 神経学的には以前よりあった右片麻痺に加えて, 左不全麻痺と右動眼神経麻痺を新たに認めた. 頭部CTで部分的な石灰化を伴う脳底動脈遠位末端部動脈瘤, 中脳, 小脳, 視床, 被殼の多発性低吸収域, 傍脳室周囲白質低吸収を認めた. 頭部MRIでは動脈瘤内部は不均一で, 一部にflow voidを認めた. 動脈瘤は左中脳底部を圧排し, 左大脳脚は著明に萎縮していた. この左大脳脚病変が以前より認められていた右片麻痺と関連していると思われた. 後日の頭部CTでは右中脳上部に周辺の造影効果を有する低吸収域を認め, 左不全麻痺と右動眼神経麻痺の責任病巣と考えられた.
著者関連情報
© 一般社団法人国立医療学会
前の記事 次の記事
feedback
Top