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肝癌発症ラット-LECラット肝における新しいSrc関連蛋白質
正木 勉徳田 雅明谷口 清英藤井 正吾岡本 佐智子畑中 良夫畠瀬 修西岡 幹夫
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1997 年 51 巻 1 号 p. 8-11

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抄録

SrcファミリーはC-src, C-yes, C-lck, C-fyn, C-lyn, C-blk, C-fgr, C-yrkの9種類のメンバーが知られている. これらのSrcファミリーは癌遺伝子産物であり, 55KDaから62KDaの分子量にある非レセプター型の膜結合型のチロシンキナーゼである. 我々は肝癌誘発モデルラットであるLECラットにおけるSrc関連蛋白質の関与について検討した. この検討で, 我々はSrcファミリーの共通の領域を認識するα-src抗体を用いたWestern blotおよび免疫組織学検討においてLECラット肝の肝細胞および癌細胞の核に特異的に発現する100KDaのタンパク質を見出した. この核内に存在する100KDaのSrc関連蛋白質はヒトの肝癌では見出されなかった. さらにこのSrc関連蛋白質はLECラットの肝癌進展において増量していた. こ、れらの結果は, この100KDa Src関連蛋白質はLECラット肝の悪性変化に密接に関与しているかもしれないことを示唆している.

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