医療
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70歳以上高齢者の体外循環を使用した心臓血管外科手術成績
―開院当初の20ヵ月の経験から―
川内 義人中島 淳博平野 顕夫西見 優大石 恭久山本 英正真弓 久則徳永 皓一
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1997 年 51 巻 5 号 p. 205-209

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抄録

開心術の対象が近年とみに高齢化してきており, 高齢者開心術の手術リスクを明らかにする必要がある. 1994年8月から'96年3月までの連続する人工心肺使用下開心術症例190例のうち, 70歳以上の50例(26%)を対象とした. 年歯令は70~82歳(平均74.3歳), 男性29例, 女性21例であった。手術は, CABG21例, 弁膜症手術16例, CABG弁膜症合併手術2例, および胸部大動脈瘤置換11例であった.
来院24時間以内に手術施行した緊急手術が9例, 24時間以後早期に手術した準緊急手術は11例, 待機手術が30例であった. 病院死亡は5例(10%)で, 年齢による手術リスクは, 70~74歳で9%, 75歳以上が12%であった. 手術の緊急度によるリスクは, 緊急手術22%, 準緊急手術18%, 待機手術3%であった. 高齢者では, 単に暦年齢に基づく高齢であることよりも, むしろ手術の緊急度が開心術の危険因子であった.

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