1997 年 51 巻 5 号 p. 210-214
冠動脈造影にて有意狭窄を確認した虚血性心疾患連続141例に運動負荷タリウム心筋SPECT(67例)とATP負荷タリウム心筋SPECT(74例)を行い, 両負荷法の病変検出能を比較した. 狭心症群では, 運動負荷SPECTで感度88%, 特異度78%, 正診度82%, ATP負荷SPECTでそれぞれ100%, 72%, 84%であり, トレッドミル負荷テスト(57例)の感度75%, 特異度49%, 正診度60%より優れていた. 病変部位別検出能では, 左前下行枝, 右冠動脈では両負荷法ともほぼ同等であったが, 回旋枝では運動負荷(感度50%)よりATP負荷(感度69%)がやや勝っていた. 病変数別検出能では, 両負荷法ともに多枝病変例で重症度を過小評価する傾向にあった.
ATP負荷心筋SPECTは運動負荷SPECTとほぼ同等の病変検出能を示し, 虚血性心疾患の診断に有用と考えられた.